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はたらく投資家

サラリーマン生活に疲れきっている投資家が奮闘する日記(ポロリはないよ)

砂の女

ブックレビュー
波辺の近くの砂丘に昆虫採集に出かけた男が、砂丘にある部落の住人にとらえられ、砂の穴の中で女と生活することになる物語。
 
冒頭の書き出しでびっくりしてしまう。次ような記述があるからだ。『7年がたち男は死亡の認定を受ける』。結局男は部落から逃げ出せず部落の一員となってしまった、あるいは本当に死んでしまったということだろう。私たちが住んでいる一般社会へはついぞ帰れなかったわけなのです。
男は最初逃げ出そうと様々な画策を行います。それを部落の住人や女は妨害します。それでも男は脱出します。しかし脱出した後に発見され、追いつかれ、囚われ、失敗。それでも男はあきらめません。
 
しかし、最後には結局男と女は結ばれ女は妊娠します。女は病院へ運ばれ砂の穴のなかに縄梯子がかけられ、その場面において男はいつでも脱出できるようになっています。いつでも逃げ出せるという自由を手に入れて男。 しかし男は脱出しません。 今じゃなくても良い、明日でも言いじゃないか、そう呟いて。結局男は逃げ出しませんでした。だから7年たっても男は失踪したままだったのです。
 
なぜ男が部落に残る道を選んだのか、男がこの部落へ足を踏み入れた理由が関係しているのではないでしょうか。
 
男が部落へ足を踏み入れた理由は昆虫採集です。新種を発見することにより後世に名を残すためです。そのために休日に大変な思いをして砂丘まで出かけていたのです。
一方、男は砂の穴の中で過ごすうち、溜水装置という砂の中から水を作り出す装置の研究開発に熱中していきます。
熱中できるものをあるいは意義のあることを見つけ、そのために生きる。 熱中できることを生きる目的を軸に据えて生活しているから、日々の生活は変わっても
 

男は生きる目的が、溜水装置へと変わったとき、元の生活にもどる意義を見出せなかったのではないでしょうか。